おひとり様の終活、共感できるパートナー探しから
私が任意後見人の受任者として、現在もお付き合いを続けている一人の女性がいらっしゃいます。お子様はおられず、ご主人を約2年前に亡くされました。
若い頃からご夫婦で会社を経営され、バリバリと事業を引っ張ってきた方です。性格もはっきりしており、ご自身のライフスタイルや好き嫌いも明確にお持ちです。「自分のことは自分で片づけたい」と、「任意後見契約」や「死後事務委任契約」の準備は整えつつも、「自分が死んだ後の遺産のことは知らない。仲良く分けるなり、喧嘩するなり好きにすれば良い」と、遺言書はあえて作成されないお考えを貫いています。
他人に媚びない。この方の性格と生き方は、少し尖っていても私個人として共感させられるところがあります。
ミスマッチを防ぐ。少し非効率でも「あえて時間をかける」受任のスタンス
後見人とご本人の関係がうまくいくかどうかは、「相性」や「価値観・生き方への共感」の要素が非常に大きいと感じます。お互いに敬意や尊重する気持ちを持ち合えなければ、長期にわたるサポートは成り立ちません。
そのため私の事務所では、ご相談があってもすぐに契約や手続きをするのではなく、少しお互いのことを分かり合ってから進めるようにしています。あえて手続きに時間をかけ、お互いの人間味や性格が少しでも見えてくるプロセスを大切にしています。 途中で万が一依頼を中止することになったとしても、契約後にミスマッチが発覚してお互いに不審感を持つよりは、はるかに良いと考えているからです。
事例:8年間の時間と、郊外マンションから大阪市内のサ高住へ住み替え
このご相談者とは約8年のお付き合いになります。「判断能力が減退した時には後見人になってほしい」と言われていますが、現在のところその気配は全くありません。
ご主人を亡くされた後は郊外のマンションに暮らしておられましたが、もともと都会での暮らしが好きだったこともあり、最近になって賑やかな大阪市内にあるサービス付き高齢者住宅(サ高住)へお引越しをされることになりました。 現在はまだ後見人としての活動は開始していないため、定期的に連絡を取り合い、付かず離れずの距離感で見守りを続けています。
実際の相談:空き家になったマンションの売却をどう進めるか?
先日、ご様子を伺うためにご連絡をとったところ、「空き家になっている郊外のマンションを売却してほしい。自分で不動産会社とやり取りするのは煩わしいし不安だから、代わりにやってくれないか?」というご相談を受けました。
「マンションに戻って暮らす予定はないのですか?」とお聞きすると、「あんな田舎で暮らしていたら憂鬱な気分になる。私は都会が好きや。」と、ご自身で戻る意思は全くありませんでした。こうして、自宅マンションの売却サポートをお引き受けすることになりました。
おひとり様の負担を最小限にする、司法書士の財産管理・売却サポート
ご相談者の負担をできる限り軽くするため、現状の課題を以下のように整理しました。
- 不動産会社とのやり取りが面倒(接触は極力避けたい)
- ご相談者に判断能力の減退はみられない
- 足元が少し不安定になってきている様子がある
- 現地(マンション)に戻っての査定、内覧、荷物整理の立会いは体力的に無理がありそう
これらの事情を総合的に考慮し、当事務所が不動産売却に関する契約交渉・契約・決済までを代理して行う新たな委任契約をいただく形となりました。 私が不動産会社や買主との窓口となり、交渉などを一手に引き受け、ご相談者には私からの経緯報告を受けていただく進め方をとっています。
司法書士の業務には、「司法書士法施行規則第31条業務」として、依頼を受けて他人の財産を管理・処分することが予定されています。ご相談者からのご依頼に基づく不動産売却処分も、この財産管理(処分)業務の一つです。
最後の売買代金の決済時など、買主様との顔合わせで一度お出ましいただく必要はありそうですが、一連の手続きにおけるご本人の肉体的・精神的なご負担は最小限に抑えることができそうです。
「終活」のご相談は友人、知人、老人ホームからご紹介が多い
老人ホームのご相談員様やケアマネジャー様からも、「おひとり様が自宅を売却したいと言っているが、どう進めればいいか」というご相談を時々いただきます。
身体や心理的な負担から「自分で不動産屋と交渉するのは難しい」と感じているシニアの方は少なくありません。 当事務所では、ご本人のこれまでの生き方や価値観に耳を傾けながら、時間をかけて信頼関係をベースにしたサポートを重視しています。おひとり様の住み替えや財産管理、不動産売却でお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

