はじめに
日々の司法書士業務のなかで、私は常に数件の「老人ホーム探し」に関するご相談をお受けしています。 最近、ご相談者様とお話しするなかで特に強く感じるのが、施設費用の値上がりです。
実際、物価高や人件費の上昇といった社会情勢の影響を受け、6年前と比較して費用が約20%近く上昇している老人ホームも見受けられます。
1. 費用高騰がもたらす高齢者の「入居時期の遅れ」
施設費用が上がっている一方で、高齢者の方々の年金収入が増えているわけではありません。結果として、増加した負担は手元に残る生活費(可処分所得)や大切な資産を減らすことにつながってしまいます。
その影響からか、「老人ホームへの入居を先送りし、できるだけ自宅で過ごす」という選択をする方が増えました。
6〜7年前までは、「まだ元気なうちに、終活の一環として自分から早めに入居する」というケースも多く見られましたが、現在ではそうしたご相談はめっきり少なくなっています。
2. 「こんなはずではなかった」を防ぐために必要な備え
「終の棲家(ついのすみか)」のつもりで入居したあと、予期せぬ費用の値上げで経済的な不安を抱えることになれば、「こんなはずではなかった」と後悔してしまうのも無理はありません。 「体が不自由になるまでは自宅で過ごしたい」と考えるのも、ごく自然なことです。
だからこそ、これから老人ホームへの入居を検討される方は、「将来的に費用が上がるリスク」もあらかじめ考慮しておくことをおすすめします。
たとえば、「もし検討中の施設費用が現在より20%高くなったとしても、資金繰りは成り立つか?」という点を事前に確認しておくのです。必ず値上がりするとは限りませんが、将来の安心を得るための資金シミュレーション(頭の体操)として非常に有効です。
3. お金の不安は一人で抱え込まず、専門家へ
費用支払いの不安をご相談いただいた際、私の事務所では、「年金や預貯金などの手持ち資産で、あと何年安心して暮らせるか」を具体的に計算・シミュレーションするお手伝いをしています。
「お金が減っていく不安」「老後資金が底を尽きる不安」は、想像以上に大きな心理的ストレスとなります。
老人ホームを探す際は、パンフレットに載っている設備やサービス(ハード面)だけでなく、資金計画(マネープラン)についても親身に相談できる専門家をぜひ頼ってください。

