• 活動報告

成年後見人が亡くなった後の財産引継ぎ|債務超過と相続放棄

成年後見人を務めさせていただいていたご本人がご逝去されました。

成年後見の業務は、ご本人が亡くなられた時点で終了となります。通常であれば、相続人を調査・特定した上でご連絡をし、管理していた財産や通帳などをお引き渡しして終了(管理計算業務)となります。

しかし、今回のケースは「管理している財産よりも、借金や未払い金(債務)の方が多い」という債務超過の事案でした。

なぜ生前に自己破産をしなかったのか?(非免責債務の注意点)

私が成年後見人に就任した当初から、ご本人に債務があることは把握していました。

「借金があるなら生前に自己破産すればよかったのでは?」と思われるかもしれません。しかし、直ちに破産などの法的整理を行う必要性が乏しかったこと、そして何より「自己破産をしても消えない債務(非免責債務)」が存在したためです。

公租公課(税金や国民健康保険料など)や一部の支払いは、破産手続きを行っても支払義務が残ります(非免責債務といいます)。今回のケースでは、破産をしても債務を整理しきれない可能性が高かったため、生前は無理に手続きをせず、生活と財産管理の維持を最優先にして静観してきました。

生前から推定相続人へ状況をお伝えしておく重要性

ご本人が存命のうちから、推定相続人(将来相続人になる方々)とは連絡を取ることができていました。

そのため、ご本人の経済状況(債務があること)を事前にお伝えし、「もしもの時には相続放棄という選択肢も検討しておいてください」とあらかじめご案内できていたことが、その後のスムーズな対応につながりました。

後見事務がひと通り終了した際、相続人の方にお渡しする「財産引継書(管理計算書)」を作成しました。やはり試算しても債務超過となる結果でしたので、財産目録とともに丁寧にご説明をお送りしました。事前にお伝えしていたこともあって、覚悟はしておられた様子です。

借金が多い場合は「相続放棄」の検討を

ここから先、財産をどうするかは相続人様ご自身の判断となります。

しかし、プラスの財産よりもマイナスの財産(借金)が多い場合、多くの方は家庭裁判所に「相続放棄」を申立てる選択をされます。(参照:裁判所「相続放棄の申述」)

相続放棄とは?

亡くなった方の財産(土地、預貯金など)も債務(借金、未払い税金など)も、一切引き継がない(最初から相続人でなかったことになる)ための裁判手続きです。

  • 提出先: 亡くなられた方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 申立期限: 「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」(今回の場合は、原則としてご本人が亡くなられたことを知った日から3か月以内)

高齢・遠方にお住まいの相続人様からのご依頼

今回、財産目録をお渡ししたところ、改めて相続人の方々からご連絡をいただきました。 「自分たちで手続きをするのは難しいため、サポートしてほしい」とのご相談を受け、当事務所で相続放棄申立書の作成支援をお引き受けすることになりました。

今回のケースでは、以下の点から特にスピード感と配慮が求められます。

  1. 相続人の方々全員が高齢であること(必要書類の取得や内容理解に負担がかかりやすい)
  2. 相続人の方々が遠方にお住まいであること(郵送でのやり取りに時間がかかる)
  3. 「3か月」という期限があること

元々後見人としてご本人の事情や財産状況を熟知している私どもだからこそ、書類作成や状況の整理をスムーズに進めることができます。期限に間に合うよう、しっかり伴走させていただきます。

まとめ:手続きに不安がある方は専門家へご相談を

相続放棄はご自身で手続きすることも可能ですが、戸籍の収集や申立書の作成、裁判所との照会対応など、慣れない作業が多く発生します。

期限が迫っている場合や、遠方・ご高齢で手続きに専念できない場合は、司法書士や弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。確実かつ安心して手続きを完了させることができます。

当事務所では、後見業務はもちろん、相続放棄や遺産整理などの手続きサポートを行っております。「よく分からないまま進めて後から困った…」ということにならないよう、丁寧で分かりやすい説明を心がけて行きたいと考えています。

どんなことでもお気軽にご相談下さい。

大切な財産、想いを次につなげる終活サービスおおさか終活サポート相談センター司法書士 高岸佳弘 事務所

相談された内容がもし、自分自身や自分の家族ならどうするか?
相談する方の気持ちを重視しながら、最良の方法を考えます。

私たちは、対面による相談に重きをおいています。「よく話を聞き、本音で話し、はっきりお伝えする」ためには、対面によって相談者の生の声を聴く以外に方法はないと考えているからです。

  • 時間をかけてお話をよく聞く様に心がけます。

    何について不安があるのか?まず、時間をかけてお話を聞くところから始めます。よくお話を聞くことで、今まで気づいていなかった事に気づきが生まれることがあるからです。

  • 心を開いて本音でお話しする様にしています。

    相談頂いた内容に対して、「自分ならどうするか?」も踏まえて本音でお話しします。

  • 何から始めれば良いのか?はっきりお伝えできるよう心がけています。

    ご相談をお聞きして、「明日から何をすれば良いのか?」お伝えし安心して頂けるように心がけています。

高齢者の終活・身元保証、住居問題に対する不安に向き合う最良のパートナーを目指して

代表 高岸 佳弘

当事務所は、司法書士が代表者を務める相談センターです。
私たちが相談された内容を社内で検討する際に最後に確認することがあります。

それは、法律の面ではなく
相談された内容がもし自分や自分の家族の立場であれば、どの様な対応をするだろうか?
自分の家族をこの老人ホームや介護施設に入所させるだろうか?
自分の家族や両親、親戚から相談を受けたとしても、同じような答えを出すかどうか?

これは、善き人としての倫理の問題なのだと思います。
終活や身元保証人のこと。住み替え、居住選定支援のこと。良き相談者と言えるためには、善き人としての倫理観が必要だと自分たちに言い聞かせています。

法律実務家としての技量と善き人としての道徳心。いずれも向上させながら、相談する方の最良のパートナーになれるよう努力したいと精進しています。

代表 高岸 佳弘Takagishi yoshihiro