空家の売却を検討する経緯
私が申立てをサポートし成年後見人に就任している方が空家を所有しておられます。この空家について売却に向けた検討を本格的に始めました。
ご本人には頼れるご親族がいらっしゃらず、現在は老人ホームに入所中で認知症も進行されています。将来この自宅へ戻って生活される可能性は極めて低い状態でしょう。
建物自体も数年前から空家となっており、すでに管理が難しい状況になりつつあり、このまま放置すれば資産価値の大幅な低下も免れません。
ご本人には遠縁の親戚はおられますが、いろいろ事情があるのでしょう。ほとんど協力を得ることが困難な状況です。また、親戚同士の関係性も良いとは言えず、将来相続の際にはこの管理が困難な不動産の押し付け合いが始まるのではと言う気配すらあります。
この様な事情の不動産を成年後見人が売却するときに感じるリアルな葛藤や、不動産会社との協力関係について触れます。
ご本人の自宅を売却する際の「家庭裁判所の許可」
成年後見人がご本人の「居住用の不動産」を売却するためには、事前に家庭裁判所の許可を得る必要があります。(参考:裁判所「成年後見人の居住用不動産の処分についての許可」について)
裁判所が許可を判断する主なポイントは以下の通りです。
- 売却の必要性: なぜ今売却しなければならないのか(施設費用の確保や維持管理の限界など)
- 売却価格の妥当性: 提示された価格が市場相場に見合っているか
- ご本人の状況: ご本人の意向(可能な範囲で)や、今後の生活環境に支障がないか
後見人としては、ご本人の大切な財産であるため「できる限り高く売りたい」と考えます。しかし、調査を行った結果、市場価格を大きく逸脱した高値で売却することは現実的に不可能です。この適正価格の判断と売却方針のバランスが、実務において非常に悩ましいポイントとなります。
難航する空家売却を成功させる「信頼できる不動産会社」の存在
適正価格を見極め、スムーズに売却を進めるためには、対等な関係で意見を交わせる誠実な不動産会社との協力が不可欠です。
信頼関係の構築には時間がかかり、名刺交換をしてすぐに仕事を依頼できるものではありません。特に条件が厳しい不動産の場合、効率を最優先する大手企業では手間を敬遠されて引き受けてもらえないケースも過去ありました。
当事務所では、数は多くありませんが、厳しい案件からそうでない案件まで親身になって一緒に考えてくれる信頼できる不動産会社とパートナーシップを結んでいます。時には難しい条件の案件でご迷惑をおかけすることもありますが、お互いに信頼し合える関係を大切にして進めています。
今回の空家売却に向けて
今回の空家売却も、ひょっとすれば、不動産が道路に接道していなかもしれません。そうすると一筋縄ではいかない困難な案件に該当すると予想しています。
(参考:大阪市ホームページ「敷地と道路との関係について」)
それでも、管理上の負担があり、ご本人のご逝去後に発生する相続を見据えると、間違いなくこの不動産(負動産)の押し付け合いになりそうな気配です。やはり、今の段階でしっかりと目処をつけておくべきだと悩みながら、数年にわたり様子を見てきました。
今回、何とか最適解を見つけ出し、この空家売却を成功させたいと考えています。そして、困難な案件にご協力いただく不動産会社にも、正当な報酬が行き渡る形で着地させたいと思います。
司法書士として、ご本人の財産を守りつつ最適な出口戦略を描く――。今回の売却活動についても、そうなるように検討を重ねます。

