老人ホームにお住まいになられてしばらく経つ方から、「所有している自宅をどうするか」とご相談を受けることがあります。
終活の中で不動産をどうするか?一言でいうと「不動産の終活」も早めに検討しておいた方が良いテーマです。
先日、以前老人ホーム探しをお手伝いしたご相談者様から、「自宅の売却を進めているが、少し不安があるので話を聞いてほしい」とお電話をいただきました。
自宅売却のスタートと、見えてきた不安
このご相談者は、以前からご自宅の売却をご自身の意向で検討されていました。若い頃からよく知る地元の不動産会社にすでに仲介を依頼されており、当初はスムーズに進むものと思っておられたようです。
しかし、売却の話が具体化するにつれて状況が変わってきました。
- 土地の境界確認や測量について
- 建物設備の故障や不具合の有無について
- 買主との条件交渉やタイトなスケジュール
不動産会社との打ち合わせが進み、次々と決めるべき事項や専門的な確認事項が出てきたことで、「一人で契約を進めるのは不安だ」と混乱を覚えられたようです。普段はとてもお元気でしっかりされている方ですが、不動産売買は価格だけでなく、決済日、条件面、設備の不具合への対応など複雑な協議が求められます。
「不動産会社から説明を受けているけれど、いまいちよく分からない」 「来週土曜日に契約だと言われているが、本当に大丈夫か」 「代わりに不動産屋と話をしてくれないか」
こうしたお疲れの様子とご不安の声を伺い、私は急遽、施設へお伺いすることにしました。
窓口となり、交渉と条件整理をサポート
ご相談者の不安を解消するため、その場で不動産会社へご連絡を入れていただき、今後の連絡窓口を私の事務所に一本化する旨を伝えてもらいました。あわせて契約交渉に関する委任状をいただき、私の方から直接、不動産会社とやり取りを開始しました。
今回ご相談者様が依頼されていたのは、地元の密着型の不動産会社さんでした。信頼関係を重視して仕事をなさっておられる様子が良く分かり、非常に誠実に対応してくださる会社でした。
私の方では、以下のサポートを行いました。
- 懸案事項の整理:売主として今何を決断すべきかを分かりやすくご相談者様にお伝えし、意思決定をサポート。
- 条件交渉の代行:ご相談者様のご意向を整理して不動産会社へ伝え、納得のいく条件へと調整。
- 契約書の事前点検:不動産会社から事前に送ってもらった売買契約書をチェックし、不利益な条項や不適切な表現がないかを確認・修正。
無事の契約完了と、大きな取引における注意点
迎えた売買契約の日。私も同席し、ご相談者様がご自身の意思でしっかりと契約書に署名・捺印されるのを見守りました。
不動産の売買は、人生で何度も経験するものではありません。内容を十分に理解しないまま契約してしまったり、慌ただしいやり取りの中で不利な条件をのんでしまったりするリスクもあります。近年では、相場を大きく下回る価格での買取り(いわゆる「押し買い」のようなトラブル)に関する相談も耳にします。(東京都公式ポータルサイト:My TOKYO より)
不利な条件で一度でも契約を結んでしまうと撤回することは相当に難しくなります。場合によっては、裁判をしなければならない事態に発展することもあります。
高齢期における不動産の売却は、法律やルールの確認だけでなく、「自分のペースで納得しながら進められているか」という精神的なサポートも欠かせません。
大きなご契約を控えて少しでも不安を感じられたときは、一人で抱え込まず、信頼できる専門家や第三者にぜひ一度ご相談ください。

