成年後見人、保佐人、補助人に選任されると、定期的にご本人のもとへ訪問し、生活のご様子を伺うのも重要な業務の一つとされています。ご本人が適切な環境で、不自由なく健やかに暮らせているかを専門職の目でしっかりと確認することが目的です。
ご本人とのコミュニケーション手法
ご様子を伺う手法に、法律上の明確な決まりがあるわけではありません。面会が最も確実で典型的な方法ですが、保佐や補助の対象の方で判断能力がある程度維持されている場合は、ご本人の負担も考慮し、電話やメール、LINEなどを併用しつつ、適宜面会を行うといった柔軟な対応も考えられるかもしれません。実際、「見守り契約」などを締結されている方々に対しては、LINEやメール、電話を活用し、気軽なコミュニケーションを心がけています。
一方、後見などのケースでは、やはり「直接の面会」を基本とするのが一般的です。ご本人の判断能力や記憶力は千差万別です。訪問した際に大変喜んでくださり、活発に会話が弾む方もいれば、残念ながら意思疎通が難しい方もいらっしゃいます。
「観察」から見えてくるご本人の想い
活発に会話ができる方であれば、最近の様子やご希望を把握するのは比較的容易です。しかし、意思疎通が難しい方の場合は、そう簡単ではありません。
老人ホームなどの施設に入所されている場合、職員の方やケアマネジャーから近況を伺うことはもちろんですが、ご本人の居室の環境や、身なりなどの衛生状態を確認し、心身に違和感がないかを注意しながら観察します。この場合、面会というよりは「観察的」という側面が強くなります。
「点」を「線」に変える記録の力
訪問時に交わした会話や、その場の雰囲気で感じたことは、気になるものはメモなどの記録に残すようにしています。その時は支離滅裂に思えた会話であっても、記録を積み重ねることで、ご本人の一貫した感情や「こうありたい」という意思が浮かび上がってくることもあるからです。
記録した一つひとつの情報は「点」に過ぎませんが、時間が経つことでそれらが繋がり「線」となる。今までにそう感じたことは何度かあります。たとえ認知機能が減退しても、ご本人が大切にしている信念やどうしても叶えたい願いは、言葉や表現を変えながらも、心の奥底で一貫して主張され続けていて、こちらの力量不足で感じれないだけなのかも知れません。
デスクワークとフィールドワーク
成年後見業務は、書類作成などのデスクワークが目立ちがちです。しかし、ご本人と対面することを含めた現場に足を運ぶ、「フィールドワーク」がこの仕事の本質だという指導を受けたことがあります。
言葉にするのは簡単で、実際に行動するのは難しい部分があるのは分かっていますが、ご本人の人生に伴走するパートナーとして、これからも出来る限りの対応を続けて行きたいと思います。

